北海道の文化

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  • 令和5年度 文化財保護功労者 受賞者

    軽舞熱送り保存会

    厚真町軽舞地区は、越中団体入植地として始まる。明治29年に富山県西砺波福光町から農業開拓を目的に移住する。軽舞熱送りは、明治36年に郷里富山県砺波平野の伝統行事「熱(虫)送り」を受け継いだことに始まる。毎年7月30日に五穀豊穣や五彩の幟旗を持ち、太鼓を打ち鳴らしながら地域一円を巡っている。以来、地域の農業的祭事の伝統行事として継続しており、令和5年でちょうど120年が経つ。

    昭和48年に厚真町民俗有形文化財に指定される。昭和49年から現在まで厚真町最大の行事「あつま田舎まつり」前夜祭パレード・本祭において披露されている。

    平成30年の北海道胆振東部地震や度重なる洪水、コロナ禍などの幾多もの苦難を乗り越え、農業の町厚真町を表すべく地域の伝統芸能を守り続けている。

    これらの活動は、地域における伝統文化の継承とともに、地域コミュニティの形成保存にも寄与している。

    大注連縄保存同志会

     昭和28年に「俵神輿同志会」として発足し、中富良野神社例大祭前夜祭に毎年大鳥居に大注連縄を奉納しており、活動は70年となる。ルーツは、明治20年の入植以来、開拓と農耕に勤しみ、村を作り、村社を建立し毎年の例祭日にあわせて注連縄を奉納したことに始まる。大正14年頃より大鳥居に供える大注連縄を製作してきたと言われている。

    昭和28年に上川神社(旭川市)に重量約400㎏、長さ60mの大注連縄を奉納した。以降、昭和34年に札幌神社(現北海道神宮)90年大祭への奉納を行い、現在まで脈々と続いている。昭和38年には「フラヌイ大注連縄」の名称が生れ、昭和54年に「中富良野町文化財」に指定される。

    大注連縄の奉納活動は、農作業の傍ら芸術品とも評されるその技術を子供たちや住民へ絶やすことなく継承している。郷土意識の向上や町づくりに繋がる文化振興活動に寄与している。

    厚岸かぐら同好会

     厚岸かぐらは、江戸時代末期にニシン漁で栄えていた頃、厚岸に渡ってきた南部地方の漁師たちによって伝えられた神楽とアイヌ民族の踊りが融合して現在に至ったものとされている。昭和35年後継者の育成と保存・伝承を目的に同好会を結成し、活動は60有余年にわたる。

     昭和45年には、厚岸かぐらの伝承地である糸魚沢地区の糸魚沢小学校においてクラブ活動に取り上げられ、運動会や学芸会、糸魚沢神社での祭典で披露される。昭和53年には、厚岸町無形文化財に指定される。

     平成10年、糸魚沢小学校が休校となるが、平成13年に真龍小学校が新たに伝承校となり、平成16年から現在に至るまで厚岸かぐらの理解と後継者の育成のため、積極的に同校に出向き舞の指導を行っている。また、町民文化祭で舞を披露している。

     平成17年「厚岸かぐら少年団」を設立して、地域文化を後世に伝えようと精力的に活動を続けており、町の伝統文化の保護・継承に重要な役割を果たしている。

                                                    

過去一覧

  • 文化情報363号

  • 文化情報362号